吉野杉の山へ
事務所に入ると、ふわっと杉の良い香りに包まれる。
清光林業さんの川上村の事務所は、床も壁も全て杉の内装。
日頃からお送り頂いたリスト&フット・レスト+ハンディ・バーテーションを小さな事務所スペースとしている身にとって、もう夢のスペースである。
木口スリットのパーテーションが、柔らかい日に包まれてまた光を放っているようだった。
慣れ親しんだ山林風景が、人工林であったことを知ったのはここ10年くらいのことで、国内の人工林は全森林の4割を越え、総国土面積の2割以上を占めるらしい。
1950~60年代の木材調達を目的とした造林の一大ブームの後、海外からの安い木材に押され、これら人工林の多くが今、手入れをされることなしに放置されているという。
日の光が差し込み、いきいきと草木が色づく森を蘇らせるとりくみと誘われ、
”皮むき間伐”に参加したのが昨日のことのように思い出された。
そんなブームの遥か昔から、吉野の山で林業を営まれてきた清光林業の岡橋社長は、なんと18代目、単純計算しても360年??
500年続くという吉野林業の担い手は、山を所有する山主、管理する山守、作業、技術を担当する山行に分業されてきたが、今では直営化も進み、清光林業もその必要性を感じ、早くに転向した山主の一人という。
間伐材
バイオマス発電所のチップ需要は高まり、国内木材自給率は40%にもなっていて
この為の皆伐(全て切ること)が問題となっている。
木がなくなった後の土砂流出や、大災害に弱い地盤となってしまうなど、
山の適切な管理の重要性が注目されている。
広い敷地内には積み重ねられた丸太が、日の光を浴びながら並んでいる。
これらは住宅建材に向かなかった間伐材で、バイオマス発電所の燃料、チップ材となるそうだ。
他にも何か作り出せる筈だよね、そんな会話から、
メディ・フュージもこの宝を世に広げる、小さな山守として参加させて頂くことに。
山を守るー それは私たちの暮らしを守ることでもあり、今この時代においては、みんなで、大切に、繋いていかなければならないバトンに違いない。
清光林業さんの宝の森を訪ねてー 3回に分けてお届けします。